腹筋UK

腹筋・腹責め大好きブログ

≫ EDIT

スイーパーその9【★】

※腹責め小説

スイーパーその9

同時刻、車が出払ったビルの駐車場に長身の男がいた。

無表情な顔に腕組をしたその姿は、敵を待ち伏せするかの様な獣のオーラをその体から放っている。

「こんなに早く厄介者を黙らせる事が出来るとはな…。」

顔に笑みは浮かばせないものの、腕を組んでいる右手の指をリズミカルに動かしている様子に

―長身の男、佐渡は自分の心情は隠せないものだと感じていた。



―キュルキュルキュル!!

「煩いな。ふっ、無理もないか。」

静寂を掻き乱すタイヤのスリップ音が鳴り響く。

エレベーター近くに居た佐渡の場所に猛スピードで向かう車内には、1人の中年男性が運転している

のが佐渡には窺えた。その車は佐渡の目の前に止まると、

中からは鋭い目つきで佐渡を睨む男がスッと出てきた。静かだが怒りを押し殺しているのは明白である。



「さすがにお早いご到着ですね。海堂さん。」

やけに丁寧な口調で話す佐渡。

「…お前達が殺ったんだな。」

「?いきなり何のことです?私はただあなたに重要な話があると電話を差し上げただけですよ。

変な推測はやめてもらいたいですね。」

海堂と呼ばれた男は睨むのを止めようとしない。

「誤魔化さなくていい。あいつは、小口は最後、お前達から逃げている途中に俺と連絡を取っている。

あの脅え様…、雑音でハッキリと聞こえなかったが、お前達の名前を確かに言っていた!」

左手をズボンのポケットに入れてにじり寄る姿がフロントガラスに反射して写っている。

「…ああ、そのことですか。まあそういう事ですね。」

あっさりと認め、冷ややかに答える佐渡に海堂の怒りは収まらない。

「!本当だな!!本当にお前達が小口を!!」

「しつこいですね。そうですよ、私達が小口を殺りました。」

つまらなそうに吐き捨てる様子に一層海堂の目の色が殺気立っていく。

こいつは…

「お前!!何故殺した!!」

佐渡に掴みかかろうとするが手を振り払われる海堂。

「何故?あなた達と考えは同じですよ。排除しただけのこと、ただそれだけです。

それとも特別な理由がいるのですか?組織にとって邪魔な存在は斬り捨てる。

それはあなたとて同じでしょう?

私達がしている事を別の形で実行しようとしていた貴方達も。内部機密―、
私達の存在を消して優位に立とうとね。」

淡々と語る声が静かな空間を賑やかに、―いや、反対に重くしている。

「私達が加担している派閥とあなた方の派閥、やり方は違えどやっている事はお互いの潰しあい。

社員修正なんて名ばかりで、実際はこちら側に貴方達を取り込む手段にすぎないんですがね。

一言二言吹き込めば大抵はこちらについてくるんですよ。簡単にね。

取り込んだ彼らの扱いは今まで以上に良くなり、金回りも格段に良くなる。誰も文句はない。

飴と鞭を上手く使えば業績も上る、実際そうなっているでしょう?」

海堂の顔を覗き込む。

「だが、そんなのは長続きしない。」

「そう、そこで貴方達だ。とにかく貴方達はあらゆる事に反発して不愉快だ、

だが、必要悪とでもいうのか居なくなるのも困る。

競争相手に妨害されればされるほど人は成長し手段を覚え賢くなっていくものです。

そう言う意味では良く役に立っていますよ、私達が雇われているのがその結果です。
本格的に掃除する役目を担う…ね。

最近は貴方達の手応えがなくて残念に思っていましたが、あんな隠し玉で私達を欺いて…、
やはり侮れませんね。

私の部下、小口をいつの間に貴方の味方につかせたんですか?
まんまと殆どの情報を盗みだされてましたよ。

流石に「内部告発される…」と上層部も慌てたようで、直ぐに消すように命令がきましたがね。」

「…あいつは元々俺の部下だ。」

佐渡と目を合わせたまま逸らそうとしない。

「なるほどね、そんな以前から…。大層な隠し玉だ。ただの肉塊にするのは勿体無かったな。」

ピクリと眉毛を動かし不快な言葉に反応を示す海堂に、佐渡はため息をついている。

「あなたも馬鹿正直な性格ですね…、全くもって、そっくりだ。」

「?何を言っている。」

「いえ…。まあ、いずれ完全にここは2つに分裂し1つは消滅するでしょうね。既に内部では分かれてしまっていますが、どちらが上に、下になるんでしょう。

力関係をはっきりさせるのにこれほど分かり易いのは無いのでは?既に消えかけである反社長派の筆頭であるあなたに、立場的に飼い犬同然の私が言っても説得力はありませんか…。ははは。」

笑い声が駐車場にこだまする。一通り声の反響が過ぎ去ると急に真剣な顔になる佐渡。

「さて、重要な話がまだでしたね。…貴方はかなりの実力者であり危険な存在だ。」

「じゃあ俺も消すか?あいつみたいに。お前達にとっては何も利益にもならないだろうからな。」

ググッ―佐渡の胸倉をつかむ海堂

「その逆ですよ。あなたにこちら側に来てもらいたいんです。利益にならない?いえいえ、十分な利益が望める。」

「迂闊に反論させないために俺を監視と抑止に使うつもりか。社長のやり方に幻滅している俺が素直に言うことを聞くとでも思うのか?馬鹿馬鹿しい。」

…。

「そう言うと思ってましたよ。あなたに来てもらえば反社長派の社員は動揺し、勝手に自然消滅してくれそうですがねぇ。」

何かそれ以外にもあるような気がしてならない。海堂は佐渡の言葉の裏に何か別の意図があるように感じていた。

「そうですかぁ…、残念だな。」

目の前に線が動いたような軌跡が現れる。



グボッ!!



一瞬の出来事に佐渡の動きを完全に見失っていた海堂は自分の身に何が起こったのか理解できなかった。

「うぐぉっ!!!」

スーツ姿の海堂の腹に佐渡の拳がめり込んでいる。肌とシャツが擦れる感触に佐渡の

表情が徐々に猛々しく変わる。

「ぐっ、これが手段を覚え賢くなった者の答えとでも言うのか、結局力で捻じ伏せる!!」

ドズッ!!

「おうっ!!!」

「いい年してよく吠えるオヤジだな。これが私達の仕事なものでね。―その手を離せよ。」

ドボッ!!

「がはっ!!!」


腹を殴られるのに耐え切れず地面に蹲る海堂の頭を掴み、上を向かせる。

「いい体してるなあんた、腹筋の感触もいい。しばらく暇つぶしに付き合ってもらうからな。」

今度は反対に佐渡が胸倉を掴んで持ち上げている。

「うっ、誰がお前らの…」



「―拓君もいい声で呻いてくれたがなあ。」

「!!どういうことだ!!」

顔が真っ青になる海堂に冷たい視線を落とす佐渡。

だがやはり彼の心情は冷たい目とは裏腹に熱くなっていた。

「(拓君、今日はとことんついてないと言ったが訂正しよう。残念な事に今日はかなりついている様だ。)」

―交渉の切り札が勝手に舞い込んでくるほどに。
関連記事
※←気に入ったら拍手クリック!!おまけもアリ♪やる気UP!!閲覧感謝!!

★ブロとも申請はこちら★ | ☆ブログにログインするにはこちら☆

※【★】ブロとも記事閲覧申請にはFC2ID登録とブログの登録が必要です。
  FC2ブログ登録の仕方ブロともの設定を参考に申請お願いします。
★twitterでも更新中→https://twitter.com/fukkinuk

| スイーパー | 21:43 | コメントする:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT















非公開コメント