※腹責め小説
スイーパーその8
「まだ出し切っていないね~。残ってるよいっぱいさぁ。その中に。」
アッパーを腹に打ち込む黒。
ドボォォッ!!!
「はうっ!!!」拓の体が一瞬持ち上がる。
「君の内臓を使えなくしてあげると言っただろ?」
グボッッ!!!
「がはっ!!」違う角度からも拓の腹に拳が打ち込まれる。
「俺たちもいること忘れるなよ、お前。」
ボディボディボディボディボディボディボディ
ボディボディボディボディボディボディボディ!!!
ドフッ!「おっ…」グボッ!「はうっ!」ドスッ!「ごはっ!」ドムッ!「うぐっ!」
ドゴッ!「かはっ!」ドゴッッ!「うえっ!」バキッ!「おうっ!」
ゴッ!!「かはっ!」ドッ!「がはっ!」ドフッ!「おっ…」
グボッ!「はうっ!」ドスッ!「ごはっ!」ドムッ!「うぐっ!」
ドゴッ!「かはっ!」バキッ!「おごっ!」
ズンッ!「ぐふっ!」ゴッ!!「かはっ!」ドッ!「はうっ!」拓の腹は、重く鈍い肉の衝突音を部屋中に響かせながら、
ただ何度も何度もその腹部全体に拳をめり込まされ続けていた。
否応なしに体中から大量の汗が滴り落ち続けている。
そして誰かの腹部への突きで、拓はついに我慢していた胃液を吐いた。
「ごふっっ!!!」「たまらんな!!」「お前のその顔すげええいいぜ。」
興奮した連中の連打による連打で、拓の腹筋はすでに使い物になっていない。
すでに100発以上その腹に拓は打撃を打ち込まれている。
まさに、人間サンドバック。拓の腹はさらに赤く腫れ上がり、
打ち込まれるたびに上下左右に揺れている。
呻き声をあげながら…。
その時、
ミシッ!!ミシッ!!ブチッ!!!拓を吊っているロープが揺れに耐え切れず、ついに切れてしまった。
その場に転げ落ちる拓の肉体。
その事に対処しきれず、バランスを崩してしまったのか部下達は拓の上で倒れる…。
ズンッ!!
「はがっっ!!…あうっっ!!…おぐっ…!!」部屋中に拓の呻き声が轟く!!
部下4人のうち、1人の肘が拓の右脇腹に突き刺さり、
また一人の膝が拓の胃袋を突き、もう1人の膝が拓の左脇腹に突き刺さった。
まさに突き刺さったという状態である。
拓の口からはだらだらと胃液と涎が流れ出ている。
「おっとごめんよ。」
「あらら、綺麗に入っちゃったな!」
「どうなった!?」
どうやら部下達はワザとバランスを崩した振りを見せていたようだ。
拓を見下ろす彼らの笑みが拓に屈辱を感じさせる。
「うぅ…お前ら…、わざとやりや―」「俺もついでにやらせろよ!」
残りの部下が拓の腹の上に飛び乗る。
ミシッ!!メキッ!!
「ぐあああああ!!」
予想だにしていない不意打ちをまともにくらったのか、
拓は部下たちを振りほどき、まさにくの字に体を曲げている。
そしてそのまま体を横に向け腹を抱えてうずくまってしまった。
「うっ…うあっ…ああああっ…おごっ!!」「げふっ・・・・」 たまらず胃液を吐き出す拓。腹筋がビクンビクンと波打っている…。
「おいおい君たち、拓君が困ってるじゃないか。ちょっと一気にやりすぎたかな?ん?」
拓は床に這いつくばっているが、どうやら立とうとしているようだ。
肩で息をしているのか、呼吸が荒い。
「何だ、まだ全然大丈夫だね。そんなに立ちたいなら立たせてあげるよ。」
黒は指で部下に合図を送ると、1人の部下が拓を脇から抱きかかえ上げる。
「ぅ…離せ!俺は!」後ろの部下を突き飛ばす拓。
その様子をまたもクスクスと笑っている黒に…
「このクソが!!」ついに拓は黒に殴りかかってしまった。
ゴスッ!!拓の放ったパンチが黒の綺麗な顔面にヒットしている。
口の中が切れたのか唇から一筋の血が流れ出る。
それだけだった…。これ以上も以下もなく、
拓の最初で最後であろう黒への反撃はあっけなく終わったのである。
「ふふ、痛いなあ拓君。」
口元の血を拭き取る黒の目はまだ笑っている。
それはさらに狂気を増した黒を感じるには十分すぎるほどの目であった。
「あ~あ、黒さんをマジにさせやがったよ。あいつ半殺しじゃすまないかもな。」
静かにその様子を眺めていた浩司が涼二に呟く。
「え?どういう…」
「体だけを痛めつけるのは佐渡さんの方が力も上だろうけどよ。
精神まで痛めつける黒さんはもっとえげつないと思うぜ、俺は。
あの人、他人の心の隙を突くのが楽しみらしいからな。」
(心の隙?)
ふっと脳裏に、黒のこちらを見透かしたような目が涼二に浮かぶ。
「そうか友達を見捨てたか…。残念だよ拓君。さあ浩司、涼二を殺せ。」
黒が冷ややかに浩司に言い放つ。
「!はい。」
浩司が銃を涼二のこめかみに突きつける。
涼二は反射的に目を瞑って、生唾を飲み込む音を自分の耳に拾わせた。
「ちが…、止めてくれぇぇ!!涼二は関係ないんだ!!お願いだ!!」拓の空しい声が響き渡る。
クスクス薄ら笑いを浮べる黒の表情は周りに異常な雰囲気を漂わせる。
「へえ、ならどうして私に歯向かったのかな?
自分が歯向かえば彼は死ぬかもしれないと分かっていたんだろう?
怒りに任せて向かってきた君は、彼の事を一瞬でも忘れた。
どうなってもいいと考えた。違うかい?」
「私は非難はしないよ。誰でも自分の感情に素直になるのが一番だからね。
君は彼がいることで一方的に自分がいたぶられるのが気に触ったんだね。
彼がいなくなることで自分の頭にある心配が一つ消えるからねぇ。
いちいち彼の事を気にかけるのが馬鹿らしくなってくるよね。あれ?彼は君の一体何ナノかな?」
(僕は拓の何なのか…)
その言葉は涼二の胸にも深く突き刺さる。
(ただの友達?ただの幼馴染?…それとも本当に拓にとっては自分は"関係ない"存在?)
「…ぁぁ…」
「どうしたんだい?自分は彼よりも優位に立っているんだよ。彼の運命も君しだいなんだ。
友達なら友達でいいんだよ。でも友達を今見捨てたのは事実だよね。
それは裏切りというんだよ拓君。」
「別に私は君を責めないよ。それは君にとって賢い選択だったんだろう?
お荷物は邪魔だって自分で分かってるじゃないか。使えないゴミは捨てるのが常識だろう?
だから今そのゴミを始末してあげようとしているんじゃないか。なぜそれを止める?」
「うぅああ!!黙れ!!」(俺は涼二の親友だ!友達なんだ!裏切る?違う!)
顔を真っ赤にし、また黒に殴りかかろうとする拓。
「拓!!」涼二の声にビクッと反応し動きを止める拓。
「違う!ちがう…ちが…」
「君の体は正直だね。それはやっぱり彼を拒絶している証拠だよ。」
「涼二…違うんだ…裏切ってなんか…」
「それでも違う、か…。はじめから君が言ってる『関係ない』が真実ということか。
関係ないなら裏切りでも何でも無いからね。
つまり拓君にとって涼二君はゴミ以下ってことだそうだ。」
「な!!…」
力なくその振り上げた拳を腰元まで落とす。
確実に拓の戦意を削ぎ落とした瞬間だった。
「くく…、いいよ。この一発でさっきの私への攻撃は無かった事にしてあげよう。」
拓の腹を触るとある臓器の正確な位置を確認する。
そして、黒は身も凍る臓器ごとえぐりとるようなレバーブローを拓の腹に見舞った。
ドムッッッ!!!!
「がふっ!!!」肝臓を射抜かれた拓はよろよろと腹を抱えたまま涼二の方へ歩くが、
急に膝を折ってその場にしゃがみこみ悶絶している…。
口を大きく開き、舌をだらんと垂らしたまま、声にならない声を出す。
「んんー!!!ぐぶっ!!」レバーをピンポイントで狙われたのだ。
しばらく地獄の苦しみを味わうであろう拓の目の前には、
涼二が複雑な表情で自分をじっと見下ろししている姿があった。