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腹筋・腹責め大好きブログ

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スイーパーその10【★】

※腹責め小説

スイーパーその10

目の前にうずくまる筋肉質の肉体は荒い呼吸でその体を平常に保とうとするが、

上手く息が出来ないのか口を開けたままダラダラと涎を垂らしている。



「拓…いいよ…すごく。」



涼二はつい出てしまった自分の言葉に気付いてはいない。

この状況で興奮してしまっている自分を頭では理解したく無いと拒否していたが、

体は正直であった。周りが見えなくなっていた涼二を黒はそっとある部分を触れて確認する。

「っ!!!何を!!!」

「こんなに感じてるなんてね、君も私と同じ性癖なのかな?ふふ、君を見たときから分かっていた事だけど、

これで確信したよ。」



(何を言ってるんだこの人は)



「まだ分からないのかな?嫌、分かってるんだけど認めたくないのか。拓君が腹を殴られる度に

君はどんどん興奮していった。証拠は…言わなくてもわかるだろ。」





「昔の私とよく似ているよ君は…。

これを自覚した状況も君みたいに知り合いが目の前でボコボコにされた時でね。

あの時の興奮は最高だったなあ。そいつも私の代わりに…ね。ははは。」



自分がこの男と同じ…。



「それにしても君も可哀想なひとだ。親友だと思っていた彼からは関係ないと言われ、邪魔者扱い。

同じ目線で扱ってくれないなんてねぇ?どうしてそんなに頼りにされてないんだろうね…。」



「それは僕が…弱いから…。」



「涼二は俺が巻き込んだだけだ、手をだすな!!!」

立ち上がった拓は今まで味わったことの無い不安を感じていた。



「またか。そうやって自分だけで問題を解決してきたんだろうけど、

それで彼はいい気分になれるとでも思っているのかい?

いつも守ってやっているという変な自信が彼を傷つけることにもなるんだよ。今もね。

信頼されていない、役にも立たないと思われていると感じてもしょうがないね、これじゃ。」



「…」



「そうだな…、君は彼にとっての癌なんだよ。取り払わなければならないな。」



「浩司、銃を彼に渡せ。撃てる状態にしてな。」

浩司が銃を構えていた腕を下ろし、涼二の手に黒く冷たいものを渡した。

拒否せず黙って受け取る涼二の姿を拓はじっと見つめる。



「その前に、ほら拓君の腹筋を触ってごらん。」

「うっ…」

一瞬小さな拓の呻き声が聞こえた気がした。

涼二は既に恐怖という感情でその場にはいない。

自分でも不思議とその事だけは分かるようだ。真っ青だった表情も何故か生き生きとしている。

一発、一発、拓の腹に打撃が加わる度に体が何かに反応するかのように熱くなっていったのも

徐々に理解し始めた。

「凄い…」

すんなりと黒の言葉を聞き入れ、逞しく割れた腹筋に涼二は強く手をそえた。と同時に体中がさらに熱くなる。



「拓…、やっぱり拓は凄いよ。僕なんかが敵うような相手じゃないのは分かっていたつもりだけど、

少しはライバルとして見ていてくれた?拓にはそんな考えも無かったんだろうけど、

いつも自分を拓と比較していたんだ…。その都度落ち込んでばかり。

今だってそうさ。こんな体、僕には到底作れっこ無いや…。」



「学校でもいつも拓に嫉妬してばかりだったんだよ…。幼馴染ってだけで他に何のとりえも無い僕と

仲良くしているのは可笑しいって、そう思ってたんだ…。付き合ってくれるのは自分を引き立たせるための置物だと感じてた。

見下しているんじゃないかって…。でも今分かったよ自分の正直な気持ちが。」



「さあ、気が済むまでやれ。」

黒の囁きが涼二を行動に移す。



「…。」

ドボッ!!!

「おぐっ!!!」


「拓、腹筋に力いれてよ…」

グボッ!!!

「はぐっ!!!」


「僕の拳でもこんなに拓の腹筋に…。」

ドズッ!!!

「かはぁ!!!…涼二やめ…ぐあっ!!」


倒れた拓の上に馬乗りになって腹を責め続ける。

ボズッ!!!

「うぅ…や…め…」


「…僕の思い違いだった…。」

グボッ!!!

「あがっ!!!」


「拓の気持ちも…分かってるつもりになってたんだ…。」

ズブッ!!!

「げはっ!!!…や…」


「いつも守られてばっかりの癖に。そんなことにも気付かなかったなんてどうかしてるよね…。」

「ぐっ…。」

拓の臍の部分に銃口を突きつける。冷たい空気がその場を包み、拓は流石に目を瞑った。



ニヤリと笑う黒が涼二の視界に入る。



「でも、それでも…」

脳裏に拓の笑顔が映る―。

バンッ!!!

銃声が部屋の中で聞こえた…。



「ぐああああっっ!!!!!足がああああああっっ!!!!!」

痛みに叫びながら床を転げまわっているのは黒だった。



「例え偽りでも、その笑顔を見ているだけで僕は嬉しかったんだ、救われるんだ…。」

「今も救ってくれた…。だからもう受身にはならない。今度はこっちが守る番だ。」



銃を構えなおし黒に狙いを定める涼二の目には迷いが既になかった。

「涼二…お前…。」

「的を射るのは拓よりは得意だよ。さあ外に出させろ!!」

「ちっ。」

男達が涼二に向かい走り出す。

「まて。下手に動いたら撃つからな。」

「!!!」

「黒さん…。」

部下達は足を止めるしかなかった。

「くっ、初めて撃つにしては上出来すぎるな。…不本意だが…行かせろ。」

黒のニヤケた顔もさすがに苦痛の表情に変わっている。



「(上手くやれたか。)」

背広の胸に手を入れて動かない浩司は呟いた。

浩司は胸に忍ばせていたサイレンサー付きの銃を背広の中から隠れて撃てる様に握っていた。

いや、握っていただけでなく既に一発撃っていたのだが誰一人気付く者はいなかった。

そう、実際に黒を撃ったのは浩司である。涼二が撃ったのはただの空砲だ。

気付かれずにタイミングを合わせて撃っていた。

浩司以外は涼二達の方向を全員が見ていたので、怪しまれず、

独特の音も空砲の音に合わさり消され、さも涼二の撃った弾が黒に命中したかのように錯覚したのである。



「拓、立てる?」

「あ?…ああ…。」

涼二の行動に頭の整理がついていけないのか、拓はかなり動揺している。

「いこう。」

地上に向かうエレベーターに素早く乗り込む拓と涼二。

その姿をただじっと眺める男達からは更に殺気が一様に感じられた。



「(さてと、こいつらの後始末だな。あれ、先にあいつら行かせてよかったっけ?)」



「まあいいか。(どっちみちあいつも…)」
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| スイーパー | 21:44 | コメントする:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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スイーパーその9【★】

※腹責め小説

スイーパーその9

同時刻、車が出払ったビルの駐車場に長身の男がいた。

無表情な顔に腕組をしたその姿は、敵を待ち伏せするかの様な獣のオーラをその体から放っている。

「こんなに早く厄介者を黙らせる事が出来るとはな…。」

顔に笑みは浮かばせないものの、腕を組んでいる右手の指をリズミカルに動かしている様子に

―長身の男、佐渡は自分の心情は隠せないものだと感じていた。



―キュルキュルキュル!!

「煩いな。ふっ、無理もないか。」

静寂を掻き乱すタイヤのスリップ音が鳴り響く。

エレベーター近くに居た佐渡の場所に猛スピードで向かう車内には、1人の中年男性が運転している

のが佐渡には窺えた。その車は佐渡の目の前に止まると、

中からは鋭い目つきで佐渡を睨む男がスッと出てきた。静かだが怒りを押し殺しているのは明白である。



「さすがにお早いご到着ですね。海堂さん。」

やけに丁寧な口調で話す佐渡。

「…お前達が殺ったんだな。」

「?いきなり何のことです?私はただあなたに重要な話があると電話を差し上げただけですよ。

変な推測はやめてもらいたいですね。」

海堂と呼ばれた男は睨むのを止めようとしない。

「誤魔化さなくていい。あいつは、小口は最後、お前達から逃げている途中に俺と連絡を取っている。

あの脅え様…、雑音でハッキリと聞こえなかったが、お前達の名前を確かに言っていた!」

左手をズボンのポケットに入れてにじり寄る姿がフロントガラスに反射して写っている。

「…ああ、そのことですか。まあそういう事ですね。」

あっさりと認め、冷ややかに答える佐渡に海堂の怒りは収まらない。

「!本当だな!!本当にお前達が小口を!!」

「しつこいですね。そうですよ、私達が小口を殺りました。」

つまらなそうに吐き捨てる様子に一層海堂の目の色が殺気立っていく。

こいつは…

「お前!!何故殺した!!」

佐渡に掴みかかろうとするが手を振り払われる海堂。

「何故?あなた達と考えは同じですよ。排除しただけのこと、ただそれだけです。

それとも特別な理由がいるのですか?組織にとって邪魔な存在は斬り捨てる。

それはあなたとて同じでしょう?

私達がしている事を別の形で実行しようとしていた貴方達も。内部機密―、
私達の存在を消して優位に立とうとね。」

淡々と語る声が静かな空間を賑やかに、―いや、反対に重くしている。

「私達が加担している派閥とあなた方の派閥、やり方は違えどやっている事はお互いの潰しあい。

社員修正なんて名ばかりで、実際はこちら側に貴方達を取り込む手段にすぎないんですがね。

一言二言吹き込めば大抵はこちらについてくるんですよ。簡単にね。

取り込んだ彼らの扱いは今まで以上に良くなり、金回りも格段に良くなる。誰も文句はない。

飴と鞭を上手く使えば業績も上る、実際そうなっているでしょう?」

海堂の顔を覗き込む。

「だが、そんなのは長続きしない。」

「そう、そこで貴方達だ。とにかく貴方達はあらゆる事に反発して不愉快だ、

だが、必要悪とでもいうのか居なくなるのも困る。

競争相手に妨害されればされるほど人は成長し手段を覚え賢くなっていくものです。

そう言う意味では良く役に立っていますよ、私達が雇われているのがその結果です。
本格的に掃除する役目を担う…ね。

最近は貴方達の手応えがなくて残念に思っていましたが、あんな隠し玉で私達を欺いて…、
やはり侮れませんね。

私の部下、小口をいつの間に貴方の味方につかせたんですか?
まんまと殆どの情報を盗みだされてましたよ。

流石に「内部告発される…」と上層部も慌てたようで、直ぐに消すように命令がきましたがね。」

「…あいつは元々俺の部下だ。」

佐渡と目を合わせたまま逸らそうとしない。

「なるほどね、そんな以前から…。大層な隠し玉だ。ただの肉塊にするのは勿体無かったな。」

ピクリと眉毛を動かし不快な言葉に反応を示す海堂に、佐渡はため息をついている。

「あなたも馬鹿正直な性格ですね…、全くもって、そっくりだ。」

「?何を言っている。」

「いえ…。まあ、いずれ完全にここは2つに分裂し1つは消滅するでしょうね。既に内部では分かれてしまっていますが、どちらが上に、下になるんでしょう。

力関係をはっきりさせるのにこれほど分かり易いのは無いのでは?既に消えかけである反社長派の筆頭であるあなたに、立場的に飼い犬同然の私が言っても説得力はありませんか…。ははは。」

笑い声が駐車場にこだまする。一通り声の反響が過ぎ去ると急に真剣な顔になる佐渡。

「さて、重要な話がまだでしたね。…貴方はかなりの実力者であり危険な存在だ。」

「じゃあ俺も消すか?あいつみたいに。お前達にとっては何も利益にもならないだろうからな。」

ググッ―佐渡の胸倉をつかむ海堂

「その逆ですよ。あなたにこちら側に来てもらいたいんです。利益にならない?いえいえ、十分な利益が望める。」

「迂闊に反論させないために俺を監視と抑止に使うつもりか。社長のやり方に幻滅している俺が素直に言うことを聞くとでも思うのか?馬鹿馬鹿しい。」

…。

「そう言うと思ってましたよ。あなたに来てもらえば反社長派の社員は動揺し、勝手に自然消滅してくれそうですがねぇ。」

何かそれ以外にもあるような気がしてならない。海堂は佐渡の言葉の裏に何か別の意図があるように感じていた。

「そうですかぁ…、残念だな。」

目の前に線が動いたような軌跡が現れる。



グボッ!!



一瞬の出来事に佐渡の動きを完全に見失っていた海堂は自分の身に何が起こったのか理解できなかった。

「うぐぉっ!!!」

スーツ姿の海堂の腹に佐渡の拳がめり込んでいる。肌とシャツが擦れる感触に佐渡の

表情が徐々に猛々しく変わる。

「ぐっ、これが手段を覚え賢くなった者の答えとでも言うのか、結局力で捻じ伏せる!!」

ドズッ!!

「おうっ!!!」

「いい年してよく吠えるオヤジだな。これが私達の仕事なものでね。―その手を離せよ。」

ドボッ!!

「がはっ!!!」


腹を殴られるのに耐え切れず地面に蹲る海堂の頭を掴み、上を向かせる。

「いい体してるなあんた、腹筋の感触もいい。しばらく暇つぶしに付き合ってもらうからな。」

今度は反対に佐渡が胸倉を掴んで持ち上げている。

「うっ、誰がお前らの…」



「―拓君もいい声で呻いてくれたがなあ。」

「!!どういうことだ!!」

顔が真っ青になる海堂に冷たい視線を落とす佐渡。

だがやはり彼の心情は冷たい目とは裏腹に熱くなっていた。

「(拓君、今日はとことんついてないと言ったが訂正しよう。残念な事に今日はかなりついている様だ。)」

―交渉の切り札が勝手に舞い込んでくるほどに。
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| スイーパー | 21:43 | コメントする:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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スイーパーその8【★】

※腹責め小説

スイーパーその8

「まだ出し切っていないね~。残ってるよいっぱいさぁ。その中に。」



アッパーを腹に打ち込む黒。

ドボォォッ!!!

「はうっ!!!」


拓の体が一瞬持ち上がる。

「君の内臓を使えなくしてあげると言っただろ?」



グボッッ!!!

「がはっ!!」


違う角度からも拓の腹に拳が打ち込まれる。

「俺たちもいること忘れるなよ、お前。」



ボディボディボディボディボディボディボディ
ボディボディボディボディボディボディボディ!!!

ドフッ!「おっ…」グボッ!「はうっ!」ドスッ!「ごはっ!」ドムッ!「うぐっ!」

ドゴッ!「かはっ!」ドゴッッ!「うえっ!」バキッ!「おうっ!」

ゴッ!!「かはっ!」ドッ!「がはっ!」ドフッ!「おっ…」

グボッ!「はうっ!」ドスッ!「ごはっ!」ドムッ!「うぐっ!」

ドゴッ!「かはっ!」バキッ!「おごっ!」

ズンッ!「ぐふっ!」ゴッ!!「かはっ!」ドッ!「はうっ!」


拓の腹は、重く鈍い肉の衝突音を部屋中に響かせながら、

ただ何度も何度もその腹部全体に拳をめり込まされ続けていた。

否応なしに体中から大量の汗が滴り落ち続けている。

そして誰かの腹部への突きで、拓はついに我慢していた胃液を吐いた。



「ごふっっ!!!」



「たまらんな!!」「お前のその顔すげええいいぜ。」

興奮した連中の連打による連打で、拓の腹筋はすでに使い物になっていない。

すでに100発以上その腹に拓は打撃を打ち込まれている。

まさに、人間サンドバック。拓の腹はさらに赤く腫れ上がり、

打ち込まれるたびに上下左右に揺れている。

呻き声をあげながら…。



その時、

ミシッ!!ミシッ!!ブチッ!!!

拓を吊っているロープが揺れに耐え切れず、ついに切れてしまった。

その場に転げ落ちる拓の肉体。

その事に対処しきれず、バランスを崩してしまったのか部下達は拓の上で倒れる…。

ズンッ!!

「はがっっ!!…あうっっ!!…おぐっ…!!」

部屋中に拓の呻き声が轟く!!

部下4人のうち、1人の肘が拓の右脇腹に突き刺さり、

また一人の膝が拓の胃袋を突き、もう1人の膝が拓の左脇腹に突き刺さった。

まさに突き刺さったという状態である。

拓の口からはだらだらと胃液と涎が流れ出ている。

「おっとごめんよ。」

「あらら、綺麗に入っちゃったな!」

「どうなった!?」

どうやら部下達はワザとバランスを崩した振りを見せていたようだ。

拓を見下ろす彼らの笑みが拓に屈辱を感じさせる。

「うぅ…お前ら…、わざとやりや―」



「俺もついでにやらせろよ!」

残りの部下が拓の腹の上に飛び乗る。


ミシッ!!メキッ!!


「ぐあああああ!!」


予想だにしていない不意打ちをまともにくらったのか、

拓は部下たちを振りほどき、まさにくの字に体を曲げている。

そしてそのまま体を横に向け腹を抱えてうずくまってしまった。

「うっ…うあっ…ああああっ…おごっ!!」

「げふっ・・・・」

たまらず胃液を吐き出す拓。腹筋がビクンビクンと波打っている…。



「おいおい君たち、拓君が困ってるじゃないか。ちょっと一気にやりすぎたかな?ん?」

拓は床に這いつくばっているが、どうやら立とうとしているようだ。

肩で息をしているのか、呼吸が荒い。

「何だ、まだ全然大丈夫だね。そんなに立ちたいなら立たせてあげるよ。」

黒は指で部下に合図を送ると、1人の部下が拓を脇から抱きかかえ上げる。



「ぅ…離せ!俺は!」

後ろの部下を突き飛ばす拓。

その様子をまたもクスクスと笑っている黒に…

「このクソが!!」

ついに拓は黒に殴りかかってしまった。



ゴスッ!!

拓の放ったパンチが黒の綺麗な顔面にヒットしている。

口の中が切れたのか唇から一筋の血が流れ出る。

それだけだった…。これ以上も以下もなく、

拓の最初で最後であろう黒への反撃はあっけなく終わったのである。



「ふふ、痛いなあ拓君。」

口元の血を拭き取る黒の目はまだ笑っている。

それはさらに狂気を増した黒を感じるには十分すぎるほどの目であった。

「あ~あ、黒さんをマジにさせやがったよ。あいつ半殺しじゃすまないかもな。」

静かにその様子を眺めていた浩司が涼二に呟く。

「え?どういう…」

「体だけを痛めつけるのは佐渡さんの方が力も上だろうけどよ。

精神まで痛めつける黒さんはもっとえげつないと思うぜ、俺は。

あの人、他人の心の隙を突くのが楽しみらしいからな。」

(心の隙?)

ふっと脳裏に、黒のこちらを見透かしたような目が涼二に浮かぶ。



「そうか友達を見捨てたか…。残念だよ拓君。さあ浩司、涼二を殺せ。」

黒が冷ややかに浩司に言い放つ。

「!はい。」

浩司が銃を涼二のこめかみに突きつける。

涼二は反射的に目を瞑って、生唾を飲み込む音を自分の耳に拾わせた。



「ちが…、止めてくれぇぇ!!涼二は関係ないんだ!!お願いだ!!」

拓の空しい声が響き渡る。

クスクス薄ら笑いを浮べる黒の表情は周りに異常な雰囲気を漂わせる。



「へえ、ならどうして私に歯向かったのかな?

自分が歯向かえば彼は死ぬかもしれないと分かっていたんだろう?

怒りに任せて向かってきた君は、彼の事を一瞬でも忘れた。

どうなってもいいと考えた。違うかい?」



「私は非難はしないよ。誰でも自分の感情に素直になるのが一番だからね。

君は彼がいることで一方的に自分がいたぶられるのが気に触ったんだね。

彼がいなくなることで自分の頭にある心配が一つ消えるからねぇ。

いちいち彼の事を気にかけるのが馬鹿らしくなってくるよね。あれ?彼は君の一体何ナノかな?」



(僕は拓の何なのか…)

その言葉は涼二の胸にも深く突き刺さる。

(ただの友達?ただの幼馴染?…それとも本当に拓にとっては自分は"関係ない"存在?)



「…ぁぁ…」



「どうしたんだい?自分は彼よりも優位に立っているんだよ。彼の運命も君しだいなんだ。

友達なら友達でいいんだよ。でも友達を今見捨てたのは事実だよね。

それは裏切りというんだよ拓君。」



「別に私は君を責めないよ。それは君にとって賢い選択だったんだろう?

お荷物は邪魔だって自分で分かってるじゃないか。使えないゴミは捨てるのが常識だろう?

だから今そのゴミを始末してあげようとしているんじゃないか。なぜそれを止める?」



「うぅああ!!黙れ!!」

(俺は涼二の親友だ!友達なんだ!裏切る?違う!)

顔を真っ赤にし、また黒に殴りかかろうとする拓。



「拓!!」

涼二の声にビクッと反応し動きを止める拓。



「違う!ちがう…ちが…」



「君の体は正直だね。それはやっぱり彼を拒絶している証拠だよ。」



「涼二…違うんだ…裏切ってなんか…」



「それでも違う、か…。はじめから君が言ってる『関係ない』が真実ということか。

関係ないなら裏切りでも何でも無いからね。

つまり拓君にとって涼二君はゴミ以下ってことだそうだ。」



「な!!…」

力なくその振り上げた拳を腰元まで落とす。

確実に拓の戦意を削ぎ落とした瞬間だった。



「くく…、いいよ。この一発でさっきの私への攻撃は無かった事にしてあげよう。」



拓の腹を触るとある臓器の正確な位置を確認する。

そして、黒は身も凍る臓器ごとえぐりとるようなレバーブローを拓の腹に見舞った。

ドムッッッ!!!!


「がふっ!!!」


肝臓を射抜かれた拓はよろよろと腹を抱えたまま涼二の方へ歩くが、


急に膝を折ってその場にしゃがみこみ悶絶している…。

口を大きく開き、舌をだらんと垂らしたまま、声にならない声を出す。



「んんー!!!ぐぶっ!!」

レバーをピンポイントで狙われたのだ。
しばらく地獄の苦しみを味わうであろう拓の目の前には、

涼二が複雑な表情で自分をじっと見下ろししている姿があった。
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| スイーパー | 21:42 | コメントする:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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スイーパーその7【★】

※腹責め小説

スイーパーその7

拓の腹に手のひらを当てながら黒は淡々と話している。

「佐渡が惜しむのも分かるなあ。君との遊びが中途半端だったようだから、

彼も可哀想な人だよ。使えない部下を持つと苦労するのは…。」



浩司はピクッとその言葉に反応しているが、平静を装っている。

しかし、その姿を黒の部下たちが口元に薄ら笑みを浮べながら見ているのには

気付いていない様子だ。



「まあ、そのおかげで私達も拓君と遊べる訳だけど。君にはどうでもいいことだったね。」



じっと黒を見つめる拓、少し離れた所で涼二はまだ下を向いて俯いている。



「さてと、佐渡が半端に君の胃の中身を吐かせてるみたいだから、まずはその胃にある物を

吐いてもらおうかな。さっきは我慢してたようだけど、今度も我慢できるかい?」



部下の1人が後ろから拓の口を手で塞ぐ。

「な…何を、ふぐっ!!…―」

「我慢するお手伝いさ。」

「―んー…!!―!」



もごもごと顔を動かして喘いでいるが、それも頭を捕まれて正面の黒に顔を向けられる。

しだいに息苦しくなり、鼻息が荒くなってくる拓。



「君は何か勘違いしていないかな?ただ殴られて終わりとでも思っているのかい?

それじゃあ割りに合わないんだよね。少なくとも私は君を五体満足で帰そうとは思っていない…。」



正確に拳を拓の胃袋に突き上げる黒。

ドズッッ!!

「んーっ!!…」


重い衝撃が拓の体内に広がる。



「まあ、最低半殺しにされることを覚悟しておくことだね。」



ドズッッ!!!

「―っ!!ん!!…ぐ!!」


塞がれている口の端から涎が流れ始めている。



「何故なら…、ふふっ、これは知らない方が君のためか。」



ドズッッッ!!!

「んんー!!!」


口を塞いでいる部下の指の隙間から、だらだらと拓の胃液混じりの液体が床に滴り落ちる。



「ん?どうしたんだ。我慢してなきゃ駄目だろう?その為に口を塞いであげてるんだぜ。」

部下は拓の耳元で嫌味に囁く。



ドズッ!!

「んー!!ん…ぅ…」

ドボッ!!ドズッ!!ドッ!!!

「ぅ…ん…、んんー!!、んぐっ!!」




「ほら、苦しくなったら水をたっぷり飲んだらどうかな?」

不意に別の部下がバケツに水を入れたものを拓に差し出す。

「ああごめん、ごめん手が使えないんだったな!俺が飲ませてやるよ。ほら。」

口を塞いでいる手を今度は逆に口を開けにかかる部下。
そこにバケツの水を流し込もうとしている。



「あ、が!!がああっ!!」

「おいおい、こぼすなよ。しっかり飲め!」

2、3リットル近くの量の水を、顎をつかまれてだらしなく口を開けた場所に流し込まれる。

喉仏が水を受け入れる度に激しく上下する。



そして、無理やり飲まされた物に拒絶するかのように吐き気は強まり、
若干膨らんだ拓の腹は奇妙に動く。

(おう…、気持ちが悪い…)

吐き出そうとする素振りを拓が見せた瞬間。また部下が口を強く塞いでその行動を抑止した。

「!!!!」(あ…あぁ…)

再び口元から涎のようにだらだらと液体が流れ落ちる。



すぐさま胃に向けられる拳の嵐。

ドボッ!!

「!!!んんーー!!」

ドグッ!!!

「ん、んんーーー!!!!
(もう…)」

ドッ!!ドッ!!ドズッ!!

「ぅぐ…んん…ぐ―
(吐かせてくれ…)」




嘔吐を我慢するのは今の拓にとっては不可能に近い筈である。だが、無理やり部下が口を塞いで

胃の内容物を押し戻し続けているのだ。これは我慢というより…。

―明らかな拷問。佐渡とは違う色を持つ仕業、まさに黒…。



「おー、凄い。そこそこ我慢できたね。合格、合格。」

両手でパチパチと叩きながら黒はにやけている。



「それじゃあご褒美だ。」

黒は左足を大きく踏み込み、右足で腹部への回し蹴りを放つ。

それは拓の胃袋に、靴のつま先からねじ込まれるように突き刺さった!!



グボォォォッ!!!!!

「うぐっ!!!……」


「拓?」

佐渡の時と同じように、拓は額に脂汗を浮かべ目を見開いたまま固まっている。

だが、その時以上に黒の足が突き刺さった周りの腹筋部分が激しくヒクッ!ヒクッ!と動いている。



「手を口から離してやりなよ。」

部下は拓の口を塞いでいた両手を離す。

そして、腹に突き刺さっている黒の足を引き抜くと、見事に凹んだ拓の腹筋が涼二の目には映った。

「凄い…、もっと…ik」

言いかけて涼二はハッと自分は何を言い出そうとしたのか、怖くなった。

だが同時に、快くなってきている自分を(感じて…い…る?)

(いや、そんな馬鹿な…。)しかし…拓を見つめる涼二。



「おうっ!!!げへぇぇぇぇ!!」

目の前には大量の水を吐き出している拓の姿。

苦しそうだ、辛そうにしている。自分はこんな姿を見たくはないんだ!

やっぱりこんな状況だから気が触れたのだと涼二は思い直した。

その瞳は拓の体を食い入るように見ているとも知らず…。



「ぐぶっ!!!うげぇぇ!!!…うっく、はぁ…はぁ…」

飲まされた水を全部吐き出した拓は、胸を大きく膨らませながら息を整えていた。
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スイーパーその6【★】

※腹責め小説

スイーパーその6



「ああ、ごめんごめん。苦しかったかな?」



拓の脇腹を触る黒。拓を持ち上げている腕に力を入れると

「うっ…」と拓の口から声が漏れる。



「拓君の脈が直に手のひらで感じられるよ。ふふ、何と言うか、若いねぇ。

羨ましい限りだなぁ。」



さらに力を込めると拓の顔がだんだんと

赤に変わってくる。額に浮き出た血管も膨張しているのがわかる。



「…ぅぅ…ぅ…」



また黒が拓の脇腹に拳を打つ姿勢に入ろうとした時、

エレベーターが開く音が聞こえた。

中から先ほど上に何かを取りに行っていた男が降りてくる。

その両手には荷物を抱えていた。



「お待たせしました、黒さん。」



その声に反応して拓を掴んでいた手を離す黒。

反動で拓の頭が力なく垂れる。



「げほっ…げほっ…、はあはあ…



黒は拓の顔を一度撫でると男の方に向かった。



「へ~、ちょうどいいのがあったね。皆もこれを使いなよ。

少し肩慣らしをしよう。準備運動、準備運動。」



男達はそう言われると次々に何かを手に取り始めた。

涼二は男達が手にしているものが何であるかを確認する。



「ぼ、木刀!」



拓も男達が持っているその得物を見ていた。



「お前等、一体なn…!!!」



バキッ!!



拓が喋り始めると同時に男は木刀を拓の腹に打ち込んだ。



「おれら木刀でお前の体を慣らすんだよ。わかったかな。」

「ちなみにこれ、かなりの上物だぜ。ははは」



バフッ!ボグッ!ゴスッ!



「ああっ…はあっ…あうっ…!!」



容赦なく木刀が拓の腹に打ち込まれていく。



「おお、いい手ごたえだ。これは筋肉のたたきだな、まさに!くははははは。」

「腹筋に力入れてるか?入れとけよ。」



ドフッ!「うっ…」ゴボッ!「あうっ!」

ガスッ!「ごはっ!」ドムッ!「ぐっ!」

ドゴッ!「がっ!」バゴッッ!「ううっ!」

バキッ!「おぐっ!」ズバッ!「がえっ!」

ゴッ!!「ぐはっ!」ボッ!「くうっ!」


……



数分程5人の男達がそれぞれ拓の腹部を狙って

ブンッ!ブンッ!と木刀を勢いよく振り続ける。

木刀を打ち込まれる度に拓の吊るされた体が前後左右に揺れている。

徐々に殴られた肉に木刀の跡が赤く浮き出てきた。



「あがっ!!!うぶっ…!!」



「いい感じの声だね。佐渡が君の腹を責めてたみたいだけど、

だいぶ回復していたのかな?それとも佐渡が本気で責めなかったのか…、

拓君の腹がそんなに頑丈なのか…。タフなんだろう?嬉しいね。」



バキッ!!

「がっ!!」




「…まあいいや。そら!そら!胴!」



ガゴッ!ベキッ!グズッ!!



「くっ!!うっ!!はっ!!」




「今度は突きの練習だな。」



男達は木刀の先を拓の腹に向けると、

一斉に拓の腹を突く!突く!突く!突く!突く!

先ほどの打ち込みに比べると、突いた時の音はほとんど出ない。

しかし一点に集中する力は先ほどのそれとは桁が違う。

拓の体が前後に揺れる反動で、その威力は突く度に増していく。

木刀の先が拓の腹を突くと、激しい嘔吐の波が拓の体を支配してくるはずである。

だが拓はその支配を拒み続け、空しく耐えている…。

その為か、拓の口からは涎が垂れ続ける。



「…ぅ…ぁ…ぅ…ぉ…」



「準備運動はこれぐらいでいいかな~?」



「肩慣らしには十分でしたよ。黒さん。」

「ああ、そいつの腹もよく揉まれたから、感度も上がってるでしょうね。」

「どれどれ…」



男が拓の腹に手を当てて触る。



「…うぅ…」



「こいつは良い!こいつの内臓の動きがよく分かる。

ちょっと触っただけで激しく暴れてますよ。」



それを聞くと次々に触りだす男達。

拓の腹をべたべたと撫で回し、しきりに観察している様だ。

回復していた拓の体力は既に佐渡にやられた状態まで消耗していた。



「この肩慣らしだけで普通の奴等はダウンだけどなあ、9割は。

そんなに耐えれるのは何故だい?友達がいるからかな拓君?」



涼二を見る黒。涼二はとっさに顔を下に向け、目を合わさないようにしている。

「(おや?…もしや…)」

黒は微妙に笑うと拓のほうに向き直す。



「りょ…涼二は関係ないんだ…だから…」



「へ~、友達想いだね君は。でも相手はその事を快く思っているのかな?」



「な…何を…」



「…いや、何でもないよ。すぐに分かるさ、ふふっ。」

不敵に笑う黒を拓は怪訝に感じていた。


「さあ、準備運動も終わったことだし…。君の内臓を使えなくしてあげるよ。」

手のひらを拓の腹筋に当ててくる黒。その手は感情など持ち合わせる筈も無く―。

本当の地獄の腹責めがついに始まった…。
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| スイーパー | 21:41 | コメントする:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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スイーパーその5【★】

※腹責め小説

スイーパーその5




1時間程度たっただろうか、

地下にあるこの部屋には届かないだろう月光…、

厚かった雲も星空に変わり、外では月が輝いている。

反対に昼間のように明るい場所にも関わらずここは闇に覆われている様だ。

その重苦しい空気の中、1人の男が言葉を発する。



「拓と話がしたい。」



涼二は浩司にそう告げた。

浩司は涼二の前に立つと持っていたナイフを持ち直し、

涼二の頬に当てる。涼二はナイフの冷たい刃を直に感じ、眉を顰めた。



「佐渡の兄貴どうします?こいつがサンドバックと話がしたいらしいですよ。」



浩司は、部屋に配備してある椅子に座って誰かを待っている佐渡に尋ねた。

部屋にある電話で誰かと話した後

佐渡は目を軽く瞑り、口にはタバコをくわえ黙っている。

喚起がないであろう部屋には若干タバコの臭いが充満している。

そしてゆっくりと目を開けると、タバコを口から左手に持ち浩司に目で合図をした。

その合図を浩司が理解すると涼二の頬に当てていたナイフを離す。



「話していいだとよ。どうやら佐渡の兄貴は気分がいいらしい。

こんな事は滅多にないぜ、ついてるなお前。話すのは勝手だが、

妙な真似はしないことだ。俺達が持っているのはナイフだけじゃないんだからな。」



浩司が背広を脱ぐと、その中にある黒い塊を取り出す。

実物を見たことがない涼二にも一目でそれが何かがわかる。



「銃…。」



涼二の額に冷汗がでる。ゴクリと唾を飲み込むと

拓が吊るされている場所に駆け寄る。

拓はどうやら大分体力が回復しているようだった。

あれほど真っ赤になっていた腹部の腫れがかなり引いている。

吊るされているその体に涼二は何かを感じていた。

だが感じはするのだが、それが何かがわからなかった。

涼二は(そんな事はどうでもいい、今はどうここを抜け出すかだ。)

そう考え直した。



「拓、大丈夫…?あっ、顔…。」



涼二はポケットからハンカチを取り出すと拓の口を拭きだした。

拭き終わるとそのハンカチは酸っぱい臭いがした。また唾を飲み込む涼二…。



「俺は大丈夫だ。俺を甘く見るなよな!それより涼二こそ大丈夫か?」

俺が涼二を巻き込んだのには変わりはないんだ。涼二に何かあったら俺…。」



拓は涼二に申し訳なさそうな顔をすると、下を向いてしまった。



「何いってんのさ!そんな事思ってたの?大丈夫だよ。

それより、…どうする?どうやって…。このままだと拓が…。」



涼二は佐渡たちに聞こえないような小声で話し出した。



「殺されはしない。…と思う。殺しても何もでないしな。

逆にお荷物が増えるだけだ。奴等だってああは言っているが

面倒事は極端に嫌っているようだからな。」



拓も同じ様に小声で涼二に話す。



「大丈夫だ。確かに殴られたりするのはちょっとキツイが、

俺だってそう簡単にはやられはしないって。さっきまでぐらいのが

腹を鍛えるのにちょうど良い強さだよ。ははは。」



笑って涼二を慰めると拓の瞳に浩司の姿が映る。



「もういいだろ。お前はこっちに来い。」



涼二の背に拳銃の口をあてると浩司は拓から少し離れた場所に

涼二を誘導する。



それから5分程たったとき、



「来たか…。」



佐渡が音に反応して暫く組んでいた腕を下におろす。

それまで動いていなかったエレベーターから起動音が聞こえる。

どうやら誰かがエレベーターを動かしているのだろう。

佐渡が言っていた奴等が乗っているのだと涼二は理解した。



「今から来る奴等は俺よりもたちが悪いかもな。

社員修正のプロ達だ。普段からいたぶることに関しては俺より

遥かに上だ。残念なことに俺は仕事で抜けるがな。まあせいぜい頑張りな。」



佐渡が喋り終わるのと同時に

エレベーターから音が鳴りそこから続々と人が降りてきた。

1…2…3…4…5人!

どいつもこいつも嫌な雰囲気を放つ野郎ばかりだ。



「お疲れ様です。」



エレベーターの入り口で見張りをしていた下っ端が

それぞれ挨拶をしている。



「これで、ここにいるのは俺と涼二、抜けると言ったあいつを除いて8人…。

逃げ出すのは…無理…か。」



拓はここに来るのは2、3人程だと予想していた。

でないと自分の体が流石にもたない。その人数なら

微かに逃げるチャンスがいずれ出来るかもしれない…

そう考えていたからだ。だが、この人数では退路が断たれたのは確実だ。



「おッ、こいつはついてるぜ、今日のは上玉だ!」

「いいねえ、そそるよ。」

「はあ、こりゃ我慢できんな。」

「いつも体の鈍った奴が相手だったからなぁ。

こいつは久々に…。」



サンドバックのように吊るされた拓を見て男達は目の色が変わったようだ。

それぞれ拓の体を見て絶賛している。

そして、あたりから異常ともいえる殺気もたちこめ始めた。



拓はそれまでの空気が変わるのを感じている。



佐渡がその男達のもとに向かう。



「…こいつが俺達の事を口外しない様に恐怖を

植えつけてやれ。こいつが壊れるまでやっていい。

若いながらこいつの鍛え抜かれた肉体は頑丈だ。

まあお前達に言う必要もないと思うが、頭部は相手が

すぐ気絶する可能性があるから長くやりたいなら腹部だけを狙え。

俺もさっきまでやってたが、かなりいい品だ。」



「そんな事は分かってる。佐渡、後は俺達に任せなよ。」



「ああ、そうさせてもらおう。黒、後は任せる。」



エレベーターに向かおうとする佐渡だが、

ピタリと足を止めて拓の方に振り返る。



「少しの間だったが楽しかったぜ、こんな時に仕事が入るとは

とことん今日はついてない日なんだろうがな。

だが、こいつは俺よりもお前をかわいがってくれるだろう。よかったな。

フフッ…。」



そして涼二の方に向かう佐渡、

佐渡は浩司と何やら話している。



「!…分かりました。」



佐渡は浩司と話し終わると男達が降りたエレベーターに乗って

地上に向かっていった。一瞬の静寂の後、誰かが話し始める。



「さてと、ええと…こいつの名前はっと、…拓かぁ。」



佐渡から黒と呼ばれた男は、佐渡が残していった拓らの手帳を

見ていた。どうやらこの男は佐渡と同等の立場の人間のようだ。



「野球部に所属…ねぇ。」



黒は何かを思いついたような顔をした。



「あ~、あれ無いかな?バット。」

黒は一緒に来た男達に話す。



「バット?ですか?さすがにそれは…。!ああ、でもこれならいくらでもありますよ。

この前使ったやつですけど。」



「あっ、それでいいや~。用意してくれ。」



「わかりました。すぐ。」



そう言うと男は部屋のエレベーターの方に向かいだした。

どうやら何かを取りに向かうようだ。

上から降りてきたエレベーターに乗り込むと、また上に昇っていった。

その様子を見届けると、黒と他の男達は吊るされた拓の所に群がる。



「ほ~、やはり美味そうなボディだ!」



「君の腹筋すごいなあ、どうなってるんだ?」



「背筋も良いな。ウエイトばっかやってんのか?」



次々と拓の肉体を触りだす男達。



「結構男前な顔してんな。もてるだろお前。ええ?」



「…」



1人の男が拓の頬を軽くペシペシと叩く。

何度も頬を叩くその男に徐々に怒りが湧いてくる拓であるが、

吊るされている拓にはその男を睨むことしかできない。



「こらこら、お前ら拓君を困らせちゃだめだろう。

拓君もそんなに睨まない睨まない。いい顔してんだから笑いなよ。」



黒は男達を制すと、拓の目の前に立った。

佐渡と比べると圧倒的な威圧感は無い。ガタイも普通だ。

だが、…気持ちが悪い笑顔だ。



「なっ!!」



黒は拓の首をグッと掴むと片手で体を軽々と持ち上げた。

そして、もう片方の拳を拓の脇腹に打ち込む。



ボゴォォッ!!



「あっ…!!がっ!!」



「もっと優しくしないとねぇ。拓君が困るだろう…、その腹に失礼だ。」



確かに佐渡とは違う。威圧感ではない。

相手を殴り殺すことに手慣れている…。拓はすぐに体が理解したようだった。
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| スイーパー | 21:37 | コメントする:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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スイーパーその4【★】

※腹責め小説

スイーパーその4




佐渡は拓の腹を手のひらでグッグッと押して、その感触を確かめている。

だが無意識に拓は腹に力が入ってしまう。さらに盛り上がる腹筋。



「誰が力入れていいと言った?」



拓は、はっと思ったが、空手をやっていた頃から腹を押されると

どうしても無意識に力が入ってしまうので、それを抜くことが出来ない。



「しょうがない奴だ。力が入らなくしてあげるよ。」



ドスッ!



佐渡は腰を軽く落とし、すばやく拓の腹にパンチを一発いれた。



「うっ!」



少し苦しい表情を見せたが、それでも拓の腹筋は常人のそれとは

違い、なんとか佐渡の軽めのパンチを耐えたようだ。



「やはり、これでは全然効いてないようだな。殴りがいのある体だ。」



「(これぐらいなら何とかなるか…。)」



だが拓のその考えはすぐに消えうせることになる…。



「じゃあ、少し力を入れてやるか。お前の腹筋、力入れとけよ。」



ドスッ!



「ぐふっ!」



「ほらほら、もう一発!」



ゴスッ!



「おぐっ!」



「どうした?顔が苦しそうだぞ!!」



ドグッ!



「ううっ!」



さっきまでの佐渡のパンチの威力とは桁違いの

衝撃が拓の腹筋に打ち込まれる!!その衝撃は腹の内側にも広がる!!



「はあ、はあ、はあ。」



「拓!!!」



明らかに拓の様子が違っている。まだ耐えれる範囲内ではあるようだが、

予想以上の佐渡のパンチの威力に驚きが隠せないようである。



「いいねえ、まだ腹筋に力が入れられる余裕があるか。

さすが鍛えられた筋肉だよ、お前はよぉ。」



そう言うと佐渡はまた拓の腹筋を撫で回し始めた。



「くそが、よくも俺らをKOしてくれやがってこの餓鬼が。いい気味だぜ。」



「まったくだ。もっと派手にやっちゃって下さいよ佐渡さん。」



「へ、佐渡さんはな~元ムエタイ選手だったんだよ。負けなしのなあ。」



部屋の入り口から声が聞こえてくる。

どうやら部屋の入り口の見張りをしているのは

拓にやられた下っ端の男達のようである。

その男達が拓が殴られる様子を見ながらぶつぶつ言っている。



「お前仰向けに寝ろ。」



「くっ…。」



拓は佐渡に言われるまま床に仰向けになった。



「おい、そこのお前等ちょっと来い!こいつの腹の上に乗れ、

サービスだ。」



「え?いいんすか佐渡さん?今日に限って…。」



「お前らも大変な目にあったしな。こいつに恨みもあるだろ。特別だ。」



「マジっすか!よっしゃあああ!」



2人は拓の傍に駆け寄ると、互いに拓の腹めがけて飛び乗った。



「ッッ!!!!!」



「よくも、俺をやってくれたなあ。おらああ!」



「この生意気な餓鬼が!!」



その場で足踏みやジャンプをする2人。

拓の腹は大きく凹んでいる。2人の体重はどのくらいあるのであろうか?

少なくとも150kg以上の重さが拓の腹に衝撃を与えているのは確かだ。

いくら空手で腹踏みの経験がある拓でも、その腹に何度も飛び乗られたことは無い。

彼ら2人のその飛び乗る反動にあわせて拓の口から声が漏れる。



「おっ…うっ、うっ、がっ、うっ…」



「いいぜ、いい腹筋だぜ。ゴツゴツしてるぜお前。」



1、2分その状態が続いただろうか。



「もういいか?おまえら?」



佐渡が腕を組んでその様子を見ながら言った。



「はい。ありがとうございました。」



また下っ端たちは入り口で見張りについた。

なかなかないご褒美にどうやら満足しているようだ。



「…はあ…はあ…」



拓は腹を押さえて大きく息をし呼吸を整えている。しかし…



「おい、早く立てよ。誰が休んでいいと言った?まだ序盤の肩慣らしだぜ。

やっぱり友達が痛い目みないと駄目なのかな?」



「涼二には手を出すな!!」



拓は思わず佐渡の腕を掴んでしまった。



「おいおい、人形は人様の腕を掴んだりするのかな?お仕置きだ。」



佐渡は拓が掴んでいる手を振りほどき、

体がまだ起き上がっていない拓の腹に膝を全体重をかけて落とした。



ズンッッッ!!!!!!



鈍く重い音が涼二の耳に聞こえた。その聞こえる先に恐る恐る目をやると、

佐渡の膝が拓の腹の胃袋辺りを押しつぶしている姿が涼二には見えた。



「はうっ!!!!!!」



「いいうめき声を出してくれるなあ、お前は。ああ?」



拓の腹にねまっている膝を佐渡はグリグリとさらに奥へ奥へとねじ込もうとしている。



「だいぶ腹筋の力も入らなくなってきたじゃないか?まだか?」



「あうっ!!!!」



膝を拓の腹から離す佐渡…。拓の胃の音だろうか?かすかに音が聞こえる。

その拓は腹を抱えるように横になりうずくまっている。



「さすがのお前の腹筋もこれは少し効いたようだな。

ほらほら!まだそこまで苦しくないだろ!早く立て!」



「…く…、…が…」



「まったく何度も言わせるなよ。立てっつってんだろ!!」



そう言って佐渡は拓の短髪を鷲づかみにすると、拓の体を上へと持ち上げようと

した。拓はその痛みで上半身が起き上がると、何とか立つことが出来た。



「たく、世話かけるなよお前は。」



ボフッ!ドスッ!!ズンッ!



すかさず佐渡は拓の両脇腹に連続でパンチを打ち込む。



「はうっ…はあっ…おうっ…!!」



「それにしても、高校生で!!」



ボスッ!ドフッ!グボッ!



「うごっ…あがっ…かはっ…!!!」



「こんなスゲエ筋肉持ってる!!」



バシッ!べゴッ!ドムッ!!



「おうっ…うぐっ…げへっ…!!」



「奴がいるなんてなあああああああああ!!!!」



ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!

ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!

ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!ドスッ!




腹に30連発で拳をぶち込む佐渡。

拳が腹に打ち込まれる間中、拓の体はほとんど地に足が着いていない状態になっていた。



「うっ、おっ、はうっ、くはっ、あっ、あああ、うぷっ…、うぐっ…、

………………………………………!!!!!」




拓の様子がおかしい…。体中が汗で濡れ、額に脂汗をかいて顔から滴り落ちる…。

しかも両腕で腹を抱えたまま固まってしまった。

その腕の中では腹筋がひくひく動いているのがわかる。

それを見ると佐渡はパンチを打つのを止めた。



「おっと、少し打ちすぎたようだな。うん?」



拓の首に腕を回し自分の体に拓の体を引き寄せる。



「出したいんだろ?楽にしてやるよ。」



耳元でそう呟くと腹を抱えている腕を振り解き、そのまま勢いをのせ

体重をかけた膝蹴りを拓の腹にねじ込ませた。



ドボオオオオオォォォォォォォ!!!!!



ものの見事に佐渡の膝は拓の腹部を突き上げ体はくの字に曲がっている。

その拓の背中は膝が入っている分が盛り上がっているのが、涼二の目にも明らかだった。

拓がそのまま倒れないように首相撲の体勢をとる佐渡。

ねじ込んだ膝を離す…。凹んだ拓の腹筋が激しく動いている。

そして次の瞬間拓の目が大きく見開かれ、口から大量に胃液を吐いた。



「おえぇぇぇぇぇぇ!!!」



「た、拓ぅぅっ!!!もうやめてくれええええ!!!」



涼二の叫びもむなしく、まだまだこれからという佐渡の笑顔がそこにはあった。

そのまま倒れ、腹を押さえてうずくまりたい拓だが、

拓の体を掴んでいる佐渡がそれをさせてはくれない。



「汚いな、俺のスーツにかかっただろうが!お前の臭ぇ胃液がよ!」



佐渡は首相撲の体勢から連続でそのまま膝蹴りを拓のボコボコの腹筋にきめる。

その度に拓の腹筋はひくひくと動き、口からは胃液を膝蹴りが腹に入ると同時に

吐き出している。



ズンッッッ!!!!!!



ドシンッッッ!!!!!!



グボッッッッ!!!!!!



ドボオッ!!!!!



「がはっ!うぇっ!げへっ!おぇっ!」



「たまらんな。お前も良い顔するじゃないか。もっと苦悶の表情をみたい。」



佐渡は下っ端の男にロープを持ってくるように命令した。



「ううっ…、いったいロープで…。」



口から胃液を垂らしながら佐渡に問いかける。



「もっといい事だよ。少しお前も休ませてやる。」



「何を…」



「佐渡さん持ってきました。」



「よし、こいつの手首に巻き付けてあそこから吊るせ。本物の人間サンドバックだ。」



下っ端は拓の体を軽々と持ち上げると拓を天井からサンドバックのように吊るした。



「いい眺めだよ。お前の肉体は本当に素晴しい。俺だけにそれを堪能するのは

申し訳ないんでね。同じ仲間にもその肉体の味を知ってもらいたいんだよ。

連絡は入れといたからな。どいつもこいつも血気盛んな奴等だ。

来るまで体力回復させとけよ。」



「!!!」



「そんな!!」

涼二は拓の姿を直視できないでいた…。
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| スイーパー | 21:34 | コメントする:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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スイーパーその3【★】

※腹責め小説

スイーパーその3



どのくらい車は走ったのだろうか?

涼二は既に今から何が起こるのか考えているようで、

恐怖で顔が真っ青である。

拓は涼二の事が心配なのか隣に座っている涼二の手をずっと握っていた。

いや、自分でも誰かの助けを乞いたかったのかもしれない。不安なのだ。

車は大道りに出て高層ビルが立ち並ぶ場所を進んでいる。

やがて車はある高層ビルの地下駐車場に着いた。

周りには一台も駐車されている車は見当たらない。



「降りるぞ。歩け。」



また佐渡と浩司はナイフを2人の背中に突き付け、余計な真似が出来ないようにしている。

先に降りていた下っ端の2人は、地下駐車場のエレベーターでドアを開けて佐渡達が乗るのを

待っていた。6人がエレベーターに乗り込むと、男は何やら機械を取り出しエレベーターについている

階数ボタンではなく、その下に何かをはめ込む接続部分に押し込んだ。

するとエレベーターの階数表示が00を表示したまま下に降り始める。

拓はさすがに生唾を飲み込んだ。



「歩け。」



エレベーターは何階に降りたのか分からないが、軽快な音を立ててドアが開いた。

そこは外の暗闇とは真逆の昼間であるかの様な明るさである。

涼二はあまりの眩しさに目を瞑った。

そしてゆっくりと目を開け、その部屋の中を見た。



何も無い…。いや、正確に言えば何かある事はあるのだがよく分からない。

全体を見渡すと殺風景な部屋だ。



「ここは…。お前らは一体何なんだ!?」



「っああ?てめえが知る必要ないだろうが。」



浩司が声を荒げ拓の前に出ようとする。しかし佐渡が浩司の前を遮った。



「まあいいだろう。教えてやるよ。俺らはこの会社の掃除屋だ。

掃除といっても人を抹消して綺麗にすることだ。お前等が見た奴は、

この会社の重要機密をネタに他の競合会社にその機密を売りさばこうと

しているとリークがあったんでね、消してあげたんだよ。

普通は事故に見せかけて殺るんだが、この馬鹿がヘマしたおかげで、

殺そうとしている事がそいつにバレてな、あの路地まで逃げやがった。

で、直接確実にあの男を殺すことになったんだ。

まったく、誰かに見られる危険があるから嫌だったんだがね…。」



佐渡は拓達を笑顔で睨んでいる。

涼二はその表情を見てさらに顔が真っ青になっている。



「そうそう、ここは社員の修正場だ。会社に対して殺すまではいかないが

危険な社員を、その身をもって償ってもらおうという場所さ。」



「ここまで言えばもう分かるか?所謂お仕置き部屋だ!」



「で、でもそんな事していたら…。」



涼二の声が震えている。



「どうやら、どうしてそんな事をされた社員が警察やら弁護士に訴えないのか

不思議そうだな。答えは簡単だ。そいつらの家族・身内・知人すべてが人質だからだ。

やられた事をバラしたらどうなるか、暴力以外にもいろいろとやり方があるもんだよ。

いくら駄目な社員でも他人の人生をめちゃくちゃにするのは辛いんだろうかね?ははは。

まあそんなところだ。」



一通り喋り終わると佐渡は胸ポケットからタバコを取り出し、ライターで火を点け吸いだした。



「ふ~。もういいだろ。浩司。」



「はい。」



佐渡が浩司にそう言うと浩司は突きつけていたナイフを拓の背中から離した。

だが涼二の背中にはまだナイフの刃が向けられている。



「へー、お前等K高校に通ってるのか。住所は…。」



何でこいつがそんなことを知っているのかと佐渡の方を見ると、

彼の手には拓と涼二の生徒手帳と携帯が確認できる。

2人は「あっ」と思ったがもう既に時遅しである。



「さてと、そろそろやるか。俺もこいつが馬鹿したおかげで直に給料に響くんでね。

イライラしてんだよ。そっちのお前は一応人質な。浩司、そいつが何かしようとしたら

殺れ。上からは殺すなと言われたが、まあ暴れたとか適当に理由つければいいだろ。」



「わかりました。」



「た、拓…。」



「涼二、心配すんな。お前は絶対に動くなよ。俺がなんとか…。」



「ああ、そうそう。拓君だっけ?お前も何か妙な真似してみろ、友達は

ぽっくりあの世逝きだ。お前は俺のサンドバック役な。腹を殴った感じだと

かなり鍛えてるようだし、腹だけ責めてやるよ。なかなか楽しめそうだ。」



佐渡はニヤニヤ笑っている。



「おい、上半身裸になれよ。」



「…。」



拓は無言で服を脱ぎ始めた。

服を着ていてもはっきりとわかっていた筋肉がその全貌をあらわにしていく。

背筋、大胸筋、上腕二等筋。三角筋、腹筋、腹斜筋、どれをとっても発達した

立派な肉体をしている。逆三角形の綺麗な体だ。

その中でも腹筋が特に素晴しく、6パックが一つ一つくっきりと浮かび上がっている。

薄っすらと盛り上がっている血管の筋も素晴しい。

とくに上腕二等筋の血管は太く浮き出ていて男らしさをさらに際立たせている。

首筋にある血管もきれいに浮き出ており、拓の男前の顔をさらに魅力的にさせている。



「予想以上だ。これは良い。」



佐渡は拓の体の筋肉を一つ一つ堪能するように手で撫で回している。

特に腹筋を丁寧に撫で回す佐渡。拓はじっと耐えるようにその様子を見ていた。



「(すごい…。前に見たときより一回り大きくなってる。)」

拓の体に感心しながらも、涼二は不安に見守っていた。
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